当院で行う基本的な手術法

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先ずは動物の四肢に留置針(柔軟性のある針で、血管を傷つけることなく点滴を持続的に行うことができます。)を留置します。ここから、注射により導入麻酔を施し、気管チューブを挿管、イソフルレンによるガス麻酔で術中維持します。

下部が吸入麻酔器、上部が麻酔を管理するためのモニターです。心電図、心拍、血圧、酸素飽和度、二酸化炭素濃度、麻酔ガス濃度、体温をモニタリングします。

気管チューブを挿管し、この管からガスを送ることで麻酔を維持します。
下にある水色のマットは、保温マットです。麻酔中は体温低下がおきます。このマットには低体温を防ぐために温水が循環しています。

手術部位を毛刈りし消毒します。毛の生えにくいポメラニアンなどでは、発毛まで時間がかかるのでご注意を。この写真は陰睾(先天的に腹腔内に睾丸がある状態)の手術のために準備しております。矢印の部分に本来あるべき睾丸がありません。


手術前の手洗いです。感染症を起こさないように当院ではブラシによる手洗いを実施しておりますが、消毒法は各病院によって異なります。

滅菌してある手術用のガウンを装着いたします。
これも感染症を起こさなくするために必要な手順です。

さて手術開始です。手術する場所だけが見えるように、滅菌してある布でカバーしていきます。どこに患者様がいるかわからないでしょう。

手術を行う場合助手は不可欠です。助手、オペ周りなどスタッフが充実しているほど手術時間は短縮できます。大手術の場合は他院の先生にヘルプしてもらっています。


手術が無事終了いたしました。麻酔から目がさめるときに頭をぶつけないよう看護婦さんが抱っこしています。動物が術部をなめないようにエリザベスカラーをつけ完了です。
全身麻酔は生体機能を一時的にストップさせるため、最も神経を使います。特に衰弱した動物に2時間以上の大手術を行った場合、覚醒し、立ち上がってくれたときに、正直ホッとしている獣医さんは私だけではないでしょう。