A:獣医師会は、目安となる料金(各病院の平均値だと思ってください)は出しておりますが、法律によって一律料金することはできないため、医療にもかかわらず、各病院で料金が異なるのです。例えば、人間のお医者さんで保険外の治療(歯医者さんで経験された方は多いでしょう)、予防のための注射(インフルエンザ等)の接種料金が病院ごとで違うのと同じなのです。この冬びっくりしたことに、インフルエンザの料金がA病院とB医院で倍ぐらい違ったのでした。人間のお医者さんも、健康保健という便利なものがなければ、こんなにも価格差があるものなのですね。
さてそれでは我々獣医師がどのようにして料金を定めるのか、内輪ばなしです。
料金を設定するためには、かかる経費(人件費、材料費、光熱費)、時間、技術料などを計算していきます。技術は確かに違いが出ますね。時間は病院ごとでそんなに違わないかな。経費はそんなに違わないだろうと思うでしょうが、驚くことなかれ、血液検査のための設備、麻酔のための設備(モニター・麻酔器など)の違い、使用する薬、縫合糸1本でも種類によって倍と半分の価格差がでできます。もちろん人件費はあなどれません。こうしてもろもろのものを足し算することによって決められます。
各病院での料金の違いはこうして生まれるのですが、血液検査しなければ、当然経費削減になります。設備投資せず、心電図や呼吸モニターもつけないで麻酔をかければどんなことが起こるのか、想像するのも恐ろしいですね。安全のため、完璧のものをめざすため必要なことは行い、より高い技術を持って医療にあたる、そのための費用を個々の病院が計算した結果が、料金の違いとなるのです。しかし、『料金が高いから大丈夫』『低いからダメ病院』、ともいえないのはおわかりになるでしょう。経費をかけなくても、勉強をせず日進月歩する獣医学についていこうとしなくても、高い料金にすることはいくらでもできるのですし、また反対に、高度医療をめざし努力しても、利益をおさえれば低い料金にすることも可能なのですから。
いずれにしても、料金によってよい病院をきめるのは不可能です。そこで、その病院を決めるのが、獣医師の資質。どれだけ動物のために正直に、真摯に打ち込むかを、あなたが判断しなければなりません。説明が十分あり、質問にしっかり答えてくれる病院をあなたが選び、信頼して我が子をたくすのです。それに答えるべく努力していくのが、我々の役目なのだと考えます。
はなしが大分それましたが、料金の違いについておわかりになったでしょうか。そして、疑問に思うことがあればどしどし質問してください。直接でも、電話でも、Faxでも、メールでも受け付けております。わたしが人間の病院に行ってよく思うことは、先生方があまりにも忙しそう?にしているため、疑問はいっぱいあっても質問するのがためらわれることと、質問できる雰囲気もないことです。説明のあと『何かご質問はありますか?』の一言でもくわわる先生はいいなあと思います。
そんな先生にかかりたいし、そんな動物の先生なりたい。