院長ごあいさつ2004


みなさん、新年を迎えいかがお過ごしでしょうか。お正月の後遺症で、未だにズボンの腹回りが苦しいのは私だけでしょうか。世間は何かと騒がしく、今年はどんな年になるものか不安だらけです。
しかし、ルナ動物病院は3年目を迎え、ますますパワーアップし、あなたと、かけがえのない動物たちのかけはしとなるよう努力してまいります。
本年も、よろしくお願い致します。
アフリカにいたころ、年末年始のイベントというか、年末年始が特別な時期という感覚はあったのでしょうか?ザンビアにいる協力隊員は集まって、忘年会を行ったことはおぼえています。それでは、ザンビア人はというと、イギリス植民地時代を経ている国のため、クリスマスにはパーティーらしきものがあったような、なかったような・・・・・・。記憶がさだかではないため、国全体で行うセレモニーのようなことは、なかったように思えます。現地の人々にとっては、冠婚葬祭の昔ながらのセレモニーの方が大事で、盛大に行っていたようです。日本と同様に、都市部は人々の集合体であるがゆえにその伝統もうすれ、それすらみることはできないのですが、町から1歩足を踏み出せば、まだまだ面白い風習・おまつりがのこっていたのでした。(2004.01記)


 みなさんいかがお過ごしですか?暦の上ではすでに春。寒さもあと一月の我慢です。風邪などひかないようにじゅうぶん注意しましょう。
 さて、前回ザンビアでの年末年始のお話をしましたが、伝統的な祭事は?というと、数多くあったようですが、参加できたものが少ない(私自身が町中に住んでいた)ため、知っている限りでお話しましょう。
 私が仕事(牛の治療のため)に通う村の一つで、成女式に出席(見学)する機会を得ました。14〜15歳の女の子が、成人女性になるための儀式です。丸二日をかけて行います。成人を迎える女の子は、親戚の女性、お母さんなどから2日間家の中に閉じ込められ、女性になるための心得を聞きます。その後村人総出のパーティー、ダンス、酒盛りとなります。家からの登場は、クライマックスに近く、成人を迎える女性は腰をかがめ、頭からすっぽり布をかぶり、親族の女性達が1列になって行進するのです。宴が終わるまで、その女性は人々に顔をみられてはいけません。軽快な太鼓のリズムにのり、歌を歌い、奇声を発し、腰を振り振り、日本人の私には何がなんだかわからないのですが、なんだか楽しそうでした。(浜松祭りの練りを、ザンビア人が見たらきっと同じ感想をもつでしょう。)その後中央にその女の子をすえ、みんなでお祝いのダンス、酒盛りです。夕方焚き火を背に、ザンビア人が踊る姿は幻想的、刺激的な体験でした。(2004.02記)


 大分春の兆しが見えています。みなさまいかがお過ごしでしょうか。ルナ動物病院も、春に向けますますパワーアップし、努力していきます。
 さて、私が行っていたのが青年海外協力隊。この組織は日本国が派遣するボランティアなので、皆様の大事な税金が使用されています。皆様も協力しているのです。そこで、どのように我々が選考され、訓練され、派遣されたかお話しましょう。
 協力隊は春・秋の年2回の募集があります。試験は、英語・専門知識・面接です。他の職種についてはわかりませんが、獣医に関しては、応募する人数が少ないため、私のような、大学でたてで経験もない者も、合格することが出来ました。一般的にはやはり経験者のほうが国際協力に役立ち、現地での応用が利くことは言うまでもありません。20〜40歳までの専門知識がある方ならば、誰でも応募可能です。職種は100近くあるのかな?詳しくは忘れてしまいましたが、印象に残る面白いものに、『きのこ』『野菜』『森林』『陶芸』『柔道』『ソフトボール』『村落開発』『日本語』などなど多岐にわたります。そのため、農業高校出身の若者、きのこ農家のおじさん、林業関係者、柔道一直線の吉田選手みたいなごっつい人、NTT勤続20年妻子持ち、など個性ある面々が集まります。試験で合格したものが、よいよ海外派遣のため、訓練に入るのです。続きは次号をお楽しみに。(2004.03記)


もう春ですね。みなさんお元気でしょうか。お手元に通信が届く頃は、さくらの花も散り、浜松祭りの準備であわだたしくなるころでしょう。
 さて、前号の続きです。協力隊の試験に無事合格すると、派遣国が決まり、派遣のための訓練になります。訓練は、約3ヶ月間。東京の広尾で行われました。大部屋に18人の猛者が集まり、なんと、暑苦しい環境でしょう。二段ベットに重なり合うように寝泊りし、朝6時起床。マラソンにはじまり、ラジオ体操。語学研修。派遣国の、文化、文明、政治、思想、習慣を学び。協力隊の、精神、心構えまで享受され、これでもかとばかりの、ワクチン接種、健康診断をクリアし。夜は9時就寝。この3ヶ月間は、協力隊に参加する喜びと、派遣国での希望だけを望みに訓練、訓練です。
 特に語学研修に多くの時間が割かれました。ザンビアでの公用語は英語。まったく話すことが出来ない状態を、わずか3ヶ月間で、派遣国での業務をこなせるようにするのです。短期集中、地獄の勉強でした。私のクラスは、派遣国、職種はバラバラで、英語のレベルは同じくらいの生徒6人。先生は、イギリス人、エチオピア人の2人が受け持ち、英語だけで行う、英語の授業です。
 これが、3ヶ月間の訓練中、一番しんどかった思い出でしょう。続きは次号で。(2004.04記)


 皆さんいかがお過ごしですか?お祭りで疲れた人も、ゆっくり休めた人も、連休モードは抜けたでしょうか。気持ちよい季節です。元気よく、胸を張っていきましょう。
 さて、前回の続きです。協力隊の派遣前訓練で最もつらかったことに、語学訓練をあげました。その中で面白かったことは、語学講師との研修旅行です。私の場合イギリス人リチャードと、研修仲間5人との鬼怒川温泉1泊2日の旅行。単に思い出を作る旅行ではなく、そこは語学研修。旅行中、英語しか話すことが出来ない不思議な旅でした。明らかに変てこな英語をあやつる東洋人と、見るからに英国紳士風の外人。電車の中でも、宿でも、観光地でも、しどろもどろの英語のみ。ペンションの方にもご迷惑をかけました。ある種の度胸試し。チケットを購入するのも英語のみ。行く先々で、奇異な目で見られたことはいうまでもありません。我々は英語なので、まだましでした。フランス語、ポルトガル語、スワヒリ語などなど、日本人になじみのない語学を研修していた訓練生は、さぞかし大変だったことでしょう。宿の方々はどのように対応していたの?想像すると、面白いですね。(2004.05記)


 太っちょの私は少し動くと汗ばむ季節になりましたが、みなさんいかがお過ごしですか。今月もはりきってまいりましょう。
 さて、前号の続きです。度胸試しの語学研修も終わると、よいよ派遣の日が迫ってきます。派遣のための、最終的な健康診断や、説明会、もろもろの準備が行われる中での一番の思い出は、天皇・皇后両陛下が開催する、壮行会でした。この壮行会は、御用邸に我々を招き入れ、陛下が励ましのお言葉を協力隊員に直にかけ、もてなして下さるのです。軽い軽食に、お酒、タバコまでありました。もちろん、食器類には菊のご紋。なんと、タバコまでにも菊のご紋。この調度類を使用しただけでも緊張したのは私だけ?立食パーティー形式なので、円卓にそれぞれ陣取った我々ごろつきのなかに、両陛下が結婚式のキャンドルサービスのごとく、回ってくるのです。『どちらにいかれますか?』「アフリカ・ザンビアです。」『頑張って、ご活躍ください。』なんとも、緊張しました。陛下との距離、僅か50cm。後で考えると、我々の持ち物検査があったわけでなく、陛下に護衛がつくわけでなく、なんとも物騒な感じがしたのは私だけ?テロが騒がれる現在も、同様な壮行会を開催しているかは不明です。
 次号は、よいよ海外に向け出発です。お楽しみに。(2005.06記)


 七月だというのに、真夏日を記録し、寝苦しい熱帯夜が続きます。イヤーな汗をかき、目覚めるのはわたしばかりではないことでしょう。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
 さて、わたしも40歳を迎え、人生の折り返し地点に立ったとき、今後の、健康のこと、家族のこと、患者さんのこと、病院経営のこと、地球環境のこと、などなど考えるべきことが多すぎて、寝られないこともあるのです。
 私の問題は、考えることで解決つくことばかり。しかし、みなさんのなかには解決のつかない精神的な悩み、苦しみがあり、こんな寝苦しい夜は、なかなか寝つくことが出来ない方もおられると思います。そんな時には、傍らにいる動物をそっとなぜてください。スヤスヤと寝ている姿をみているだけや、ぬくもりを感じるだけでこころが穏やかになります。
 アニマルセラピーはこんなところからはじまります。動物は、あなたの心を癒すために、そばにいるのです。(2004.07記)  


 アテネオリンピック・甲子園が始まり、まだまだ暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 幼い頃、アイスキャンディーをほうばりながら感じた30度は、郷愁をいざなう心地よい暑さ。予備校時代、将来が不安だらけ、やりたいことも見つからずドロドロとろけそうなイヤーな30度。遊ぶことが一番大事であった大学時代、ひたすらだらだら過ごした、暑さも感じない30度。アフリカでの、見るもの、触るもの、感じるもの、その暑さまでも新鮮に感じられる30度。海・山で過ごす30度。都会のビルの真中で感じる30度。
 同じ暑さでも、生きていた時代、場所、雰囲気でずい分変わります。もちろん絶対的な暑さは同じなのですが、外気温30度の感じかたは、それぞれなのです。感じる人の心の中を反映させるのです。核兵器問題(地球時計破滅まで7分前、これは昨日筑紫哲也NEWS23でやっていたもの)、イラクの情勢、自然破壊、地球温暖化の報道を見るたびに、息苦しさをかんじ、体感温度はますます上がっていきます。
 少しでも快適にすごせるように、海か山に出かけ何も考えずに楽しむのも良いことです。目的意識をもって何事にも全力でぶつかっていき、暑さなど感じる暇もなく過ごすのも良いことです。
 あなたの30度はいかがですか。(2004.08記)


 みなさんいかがお過ごしでしょうか。暑い暑いといいながら、9月を迎えようやく暑さのピークは過ぎたようです。わたしがそれを感じるのは、病院前の街路樹が散り始めるから。
 さてみなさんのご協力のもと8月の連休には、家族そろって大阪ユニバーサルスタジオに行くことができました。ありがとうございました。嫁様は青森出身の3人姉妹のまん中。長女はご両親のそばで結婚し、末娘は千葉で結婚。それぞれ2人ずつ子供をもうけています。ユニバーサルでは、その姉妹と旦那様、子供達、青森のお母さん、我が家の怪獣2頭を含めると12人の団体様で大移動。6人の幼い子供達との大格闘。脱力感で浜松に帰還いたしました。世のお父さま方にはきっとご理解いただけると思います。しかし、子供達や奥様方には良い思い出になったことでしょう。
 オリンピックでは日本中が燃えましたね。わたしも寝ようとすると、決勝がはじまりついつい観てしまう、連夜の夜更かしで少々ばて気味の毎日でした。わたしの体型を見てお分かりのように、小学から高校まで11年間柔道をしていたため、今回の柔道は特にエキサイトし、観ているとついつい力が入り、いしょにメダルを取った気分を満喫いたしました。メダルを取った人も、残念ながら取れなかった人(井上選手あなたは強い、次はメダルです。)も、選手のみなさんありがとう。どこぞの国の総理ではありませんが、
『感動した!ありがとう!』(2004.09記)


 こんにちは。お元気ですか? 10月に入り、秋らしさがずんとましてきました。秋といえば、運動会、遠足、芋掘り、紅葉狩りです。みなさんはどちらかに行楽にいかれましたか?わたしは、休みがなかなか取れず家族サービスができていません。ごめんなさい。
 さて、この時期になると青森の秋をかならず思い出します。私の住んでいたのは天間林村(妻の実家もあります。場所は早速地図を広げてみてください。陸奥湾の、下北半島のふもとにある野辺地町は確認できましたか?そのまた下方にある村です。)、良い意味で風光明媚な自然あふれる場所でした。八甲田山はすぐ裏にあり、頂上までベコ(牛さん)の放牧場を眺めながらの山道は、短い夏に別れを告げいっせいに葉の色を変える木々にかこまれ、すばらしいものでした。山頂では数ある温泉のうちの一つに入り、帰りは少し足を伸ばして有名な奥入瀬渓流経由で。今考えると、なんともぜいたくな生活でした。
 その他今月印象に残ったことに、パラリンピックがあります。みなさんご存知でしょうか。体に障害を持つ方々のオリンピックです。オリンピック開催後に必ず行われ、我々に感動を与えてくれます。報道もオリンピックのように大々的にされず、9月の中頃(わたしも詳しくわかりませんでした)から開催されていたようです。私の知る限りでは、今回のパラリンピックのメダル獲得数もかなりの数だったようです。おめでとうございました。パラリンピックでは同情とは違う、人間本来が持つ懸命さが感動となります。はたして自分が障害を持った時、この人たちと同じように頑張ることができるのか?いつも思ってしまいます。世界一の称号は、生半可な努力では勝ち取ることはできないでしょうから・・・。(2004.10記)


 こんにちは。お元気ですか?11月に入りめっきり寒くなりましたが、みなさん風邪などひかぬよう、がんばりましょう。
 先月新潟では大きな地震があり、多くの震災者がいまだに不自由な避難所生活を強いられているようです。ここ東海地方では私が幼少の頃、30年も前から地震の危険が伝えられ、防災頭巾をいすにくくり、避難訓練を繰り返していたものです。神戸の震災の記憶も消えぬうちの新潟地震は、それこそ他人事ではすまない気持ちがします。明日はわが身。いつ地震があってもおかしくない状況の中、我々は日常生活を送っているのです。あなたは、災害の備えをしていますか?
 新潟の震災動物はどのように過ごしているでしょう。災害時、人間第一で考えられるのは当然のことです。多くの動物は人間がおちついた後、行方を探されたり、保護されたり、行き場所を失ったり・・・。
 あなたのワンちゃん、ねこちゃんはマイクロチップや迷子札をつけていますか?マイクロチップを義務化している国もあります。個体識別できるマイクロチップは、災害時、外れることなく有効に飼い主さんを探し出すことができます。マイクロチップは費用がかかりますが、少なくとも迷子札をつけることは、狂犬病予防接種と同じくらい飼い主さんの義務だと考えられます。
 お願いです、ぜひ迷子札だけでもつけてあげて下さい。話すことができない動物は、自ら飼い主さんを探すことができないのです。迷子札は病院で無料配布いたします。(2004.11記)


 こんにちは。お元気ですか? いつも応援していただいて、ありがとうございます。年末になり何かとあわただしく、徐々に寒さもましてきましたが、かぜなどひかぬようにがんばりましょう。
 本年も残りあとわずかとなりました。皆様はどのような1年だったでしょうか。ルナ動物病院は3年目を迎え、3月には新しいスタッフも加わり、ようやく病院として安定してまいりました。皆様に安心して我が子を預け、気持ちよく御来院いただけるようスタッフともどもがんばります。皆様もお気づきな点があればぜひご意見をお寄せください。
 私的なことでは、妻が3人目の子供を授かり(子作りが好きなのではなく、子供が好きなのです。そして、娘がほしかったので・・・)12月20日頃分娩予定になっております。このニュースレターを皆様がお読みになる頃は、きっとかわいい我が子と対面していることでしょう。現在の父親の心境としては、楽しみと不安が入り混じった変な心もちです。妻よがんばっておくれ。
 それでは皆様良い年の瀬をお迎えください。(2004.12記)