院長ごあいさつ2003


 こんにちは、ルナ動物病院 院長の鈴木です。七月になっても、なんだかすっきりしないじめじめした毎日。皆さんの体調はいかがですか。熱中症・皮膚病に気をつけ、元気に過ごしましょう。
 さて今月よりルナ通信・ばおばぶの木をはじめます。いろいろな情報満載、企画も考え、製作していきます。ご愛読よろしくお願い致します。(2003.07記)


 八月になりようやく夏らしくなりましたが、皆様の体調はいかがですか。私はいまのところヘソを出して寝ていても、昨年のように倒れることもなく元気です。
 さて冷夏というと、お米大好きの私にとって、お米のできがかなり気になります。これには、アフリカ生活が影響しているのです。
 アフリカの主食はシマと呼ばれる、メイズ(日本では、牛の飼料として栽培されているような甘くないとうもろこし)を粉にし熱湯でこねたもので、これは思ったより美味です。
 当時、アフリカの大干ばつにより、この主食も寄付による輸入でまかなわれていました。またお米も販売されており、米党の私は米を食べていました。そのお米は長粒米で、多くはマラウイかパキスタン、インドからの輸入米です。パサパサ・ゴリッ!(食べている時の音で、パサパサのうえ、時たま石が入っています。)もちろんその国々固有の食文化があります。われわれの食す短粒米のもっちり、あまいお米が嫌いな国もあるでしょう。しかしそのお米は、お世辞にも日本人にとって、おいしいといえるものではありませんでした。日本に帰国してから味わう日本米の、なんとおいしいことか。こんなおいしいお米がなくなる。しかも原因が政府の減反政策であったり、備蓄の不備であったり。1・2年の不作でお米を輸入しないといけない状況を作り出すなんて、これからの地球温暖化、異常気象、食糧不足、をどう乗り切るつもりでしょうか。
 北朝鮮のことは他人事ではありません。(2003.08記)              


 10月に入りやっと秋らしくなりました。もともと暑苦しい体型のわたしにとって、夏の寝苦しさは拷問のようで、今の季節は一年の中で最も熟睡ができる季節です。(地震にも気づかず寝ていました、コワイ・コワイ)
 食欲の秋・読書の秋・運動の秋、秋の過ごし方は様々です。太りすぎと、病院で言われたあなた、お互いにがんばりましょう。ワンちゃんなら、おやつをなくしたり、人間なら2本目のビールをひかえたり・・・。動物の肥満は、関節疾患、脊椎疾患、糖尿病、肝臓病、心臓病の原因となります(人間と同じですね)。
 あなたは、読書をしていますか?わたしが獣医師となったのも1冊の本との出会いでした。題名は「ヘリオット先生奮戦記」。獣医さんご自身が書いた本で、「ああー、世の中にはこんな職業があるのかー」と、わたしがはじめて獣医師という職業を意識した瞬間でした。こんな風に人生を変える本との出会いがあるかもしれません。どんな本でも勉強になります、秋の夜長に読んでみましょう。
 秋の運動で思い出すのが、運動会。小さな頃から肥満児であったわたしにとって、あんまりありがたくない行事でした。それでも、小学校から高校まで柔道をやっていたころはまだましなのですが、現在運動不足の毎日で、こどもたちの相手をするだけで筋肉痛というひどい状態です。あなたはいかが? 
(2003.10記)              


 大分寒くなってきましたが、体調はいかがですか?ワンちゃんにとっても、私にとっても過ごしやすい季節、ネコちゃんは風邪や、飲水量が減っての膀胱炎、加齢による慢性腎不全の悪化が多くなります。ちょっとした変化に気をつけ、様子がおかしかったら些細なことでも結構、ご相談ください。
 さて今回は、こんなにお米の大好きで、暑がりの私が「なぜアフリカに行ったのか。」です。
 青年海外協力隊のボランティアとしてアフリカに派遣されたのですが、実は私の希望国は南米だったのです。まさか容姿で決めるわけでもなく、やはり、試験の成績、経験年数、適正等考慮に入れて派遣国を決定しているのでしょう。南米のインカ・マヤ文明に興味があり、その不純な動機を見透かされたようなアフリカへの派遣を、これも運命だと受けたのでした。(迷ったけれど、行ってよかったですよ。)
 協力隊への参加は、ボランティア活動に興味があったことはもちろんですが、日本のぬるま湯生活にあって、自分が異国の地、異文化のなかで生活できるのか?に挑戦したかったのです。生まれてはじめての海外が2年間のアフリカ生活という強烈な経験でしたが、生活しなければ体験できないことを肌で感じてきました。そのエピソードは、皆さんのご要望もありおいおい書いていきたいと思います。
 あなたはボランティアに興味がありますか。青年海外協力隊は40歳までという年齢制限があります。(30過ぎても今の時代青年だということです。)その他にも様々な職種で、シニアボランティアとして青年でなくても活動している方や、それこそ、NGO(非政府組織:北朝鮮や、アフガン等の紛争地域で報道されている有名な組織以外にも多くの組織があります。)で活動している方も多くいます。身近では、動物ボランティアとして飼い主のいない多くの動物を助けている方もいます。「ボランティアは生活に余裕がある人が、片手間でやること。」極端にこのように考える人もいるでしょうが、生活は苦しくても、自身に悩みを抱えていても、やっている方は多いのです。興味があるか、それが生きる糧となるかが問題であって、生活に余裕があっても興味のない人にはできないことなのです。とはいうものの、道端のゴミを拾うのも、赤い羽根1本でもボランティアです。今まで赤い羽根を見たことがない人はいないでしょう。ただ寄付するのではもったいない。その寄付がどのように活用されるのかに興味を持ち参加したいものです。(2003.11記)


 日々寒くなって、1枚ずつ羽織る服の数も多くなっておりますが、皆さんはいかがですか。私は大量なる皮下脂肪の鎧で、寒冷地用の装備となっているため、アフリカにいた時はかなりきつく、オーバーヒート寸前でした。
 ザンビア共和国はアフリカ大陸の赤道より南の中央部に位置し、周りを陸で囲まれています。そのため、雨期・乾期のはっきりしたサバンナ気候と、海に面していないうえ高地にあるため、1日の寒暖差が激しい内陸性気候の性格をあわせもちます。
 1年は3っつの季節に分かれ、5月〜8月が乾燥し涼しい乾期、8月〜10月が乾燥し暑い乾期、11月〜4月が湿って暖かい雨期です。ほぼ毎日のように雨が降る雨期はムシムシ・ムシムシ。雨のまったく降らない乾期の暑さは、「熱い!」の一言です。エアコンなどあるわけなく、木陰で動かず、暑さにじっと耐えながら夕方を待つのです。実際暑い日に働くのは、変わり者か、日本人くらいでした。また、対照的に涼しい乾期の朝夕などは、暖房器具が必要なほどでした。「まさかアフリカで暖房?」信じられないでしょうが、本当です。私は、現地の人が作った大きめのつぼに炭を入れ、火鉢のようにし、古きよき日本情緒に浸りながら暖を取っていました。
 こんな気候の中生活し、食べ物、病気など色々な要素が重なり、1年後にはダイエットに成功したのでした。私自身痩せようなんてちっとも考えていませんでした。
 無理なく?自然と?20kg脅威の減量法!
 なんだか通販の言葉のようです。アフリカン・ダイエット法として紹介してもいいのですが、2年の任期を終え日本に帰り、2ヶ月もしないうちに元の体重に戻ったので、お勧めはできません。不思議なもので、協力隊の男性隊員のほとんどは体重を落とし帰国しますが、それに反比例するように、女性隊員の体重は増加していたようです。女性は食事を作ることができるため、食材の乏しい中でも必要な栄養を摂取できることと、過酷な条件(環境の悪化やストレスの増加)になれば、なるほど生命力をはっきし、種を守るためその環境に適応していく能力が高いのでしょう。簡単にいえば、女性のほうが肉体的にも精神的にも強いということなのです。これは平均寿命をみてもわかりますね。
 これから寒さが増すうえ、年末で何かと忙しくなりますが、健康に気をつけ、元気に新年を迎えるようにしましょう。
 1年間ルナ動物病院に御来院いただきありがとうございました。来年も、あなたの愛する動物とあなた自身に、健康と幸せが続くようお祈り申し上げます。(2003.12記)