外耳炎・下顎から下腹全体四肢までつづく皮膚炎で、発赤・掻痒・痂皮・脱毛がおきています。脇・内股は特に皮膚が肥厚していました。
検査結果は細菌感染とマラセチアの混合感染です。
細菌感染の治療の基本はジェットバス・シャンプー療法・3週間の抗生剤内服です。
この症例は1週間前に動物に咬まれたために、わき腹の皮下だけでなく、筋肉の間にも膿がたまっていました。胸の中に入り込むと膿胸となり、生死にかかわる病気になります。皮膚に孔が開くほど咬まれた場合には、すぐにご来院下さい。
この症例は、中には膿がたまっており培養検査で2種類の細菌が検出されました。通常大きく切開し、中に異物がないのを確認し、開放したままで洗浄を繰り返し治癒させます。抗生剤は検査によって効果があるものを使用します。
甲状腺機能低下症
全身症状は多様で、活動性の低下、食欲増加を伴わない体重増加、とても寒がるようになります。80%の症例で皮膚の異常が認められ、頸部、腰背部、尾根部の肌が黒く色素がつき脱毛します。通常は痒みがないのですが、免疫系の低下により感染症を起こすと痒みを伴うため、診断が難しくなります。
副腎皮質機能亢進症
クッシング症候群と呼ばれ、様々な症状を示します。よく水を飲むという症状が多く、これで飼主様が気がつく場合が多い疾患です。血液検査をすると異常な数値を示し、肝臓障害の他、食欲増加、あえぎ呼吸、活動性の低下、腹部膨満、感染症に弱くなるための皮膚炎や、膀胱炎、左右対称性の脱毛などの症状を呈します。
このワンちゃんは去勢手術により、4ヵ月後にはきれいな毛並みになりました。この病気は原因不明のため、診断するには他の病気がないか、除外診断が必要です。この症例のように去勢手術に反応しますが、しばらくすると再発します。
2年後ですが徐々に毛並みが悪くなってきたようです。ヒトの男性の頭の脱毛と同じで、健康状態は申し分ないため、まさしく見た目だけの病気です。かつらや帽子をかぶるように、最終的な治療は、かわいい服を身に着けることになります。
下腹部を中心に、舐めることができる範囲で脱毛しています。湿疹などの皮膚病変はありません。このような脱毛は、ナイーブな太ったネコちゃんに多いようで、精神的に不安定なことが原因で、グルーミングが過剰になり毛が薄くなったものです。
ノミやアレルギーが原因になる場合があるので、鑑別診断が難しい病気です。
アレルギー反応で、顔全体がむくんでいます。全身的に蕁麻疹が出る場合もあります。食物、虫刺、薬剤、吸入物、植物などが原因と考えられますが特定は不可能で、このケースも原因不明でした。顔が腫れた後、吐き気や、下痢の症状が続く場合もあります。
ワクチン接種2時間後に、ムーンフェイスになった、他のワンちゃんです。急激なアレルギー反応は生死にかかわるので、当院ではワクチン接種後30分は、院内に過ごしていただきます。そして帰宅しても少なくとも半日は注意が必要です。
こちらもワクチン接種後に発症した、別のワンちゃんです。ダックスはアレルギー反応が出やすいので、当院では5種ワクチンを接種しています。それにもかかわらず、このようにアレルギーがでてしまうため、ダックスちゃんでは特に注意が必要です。
同じ柴ちゃんですが、顔面だけでなく足先の炎症もかなりあり、とても痒がっております。
シャンプーや抗生物質で感染症のコントロールをし、ステロイド、抗ヒスタミン薬、免疫抑制剤などで痒みのコントロールをします。
肛門や外陰部の周りの炎症は慢性的で、象の皮のようです。痒みのコントロールがかなり難しい難治性のアトピーでは、減感作療法(当院では行っていないのでできる病院をご紹介いたします。)やインターフェロンなども試されます。
ワンちゃんの両側の耳に、対称的な脱毛があり、外耳炎ではないのに痒がっています。全身的な掻痒もありました。除外診断でアレルギー反応しか考えられず、ステロイドの内服で完治いたしました。食事を変更し2年経過しますが、体の痒みも含め再発しておりません。
ネコちゃんの両耳介部に発疹、かさぶた、脱毛、強い痒みがあります。このネコちゃんは、毎年、蚊の出る時期だけ症状があるので、蚊に刺されることでおきたアレルギーと診断しました。その他のアレルギーやダニの感染でも耳介部のみに症状を示すため、除外診断が必要になります。
睾丸が2倍に膨れています。このワンちゃんは体幹部の発疹、外耳炎を伴う場合や、睾丸だけ症状が出る場合があります。病理検査でアレルギーの反応が疑われました。微量なステロイドだけで症状を抑えることがで、現在は食事を変更し、再発しておりません。
格闘技系のスポーツ選手の耳がつぶれているのと同様の症状です。
原因は、物理的な打撲や外耳炎の痒みで掻くことや、免疫が関与している場合があります。イヌもネコも発症し、痛みや違和感のため頭を振り続け、耳介部が腫れるためすぐに発見できます。
治療は内科療法で治癒しない場合、外科手術を選択します。現在内科療法で100%治癒していますが、1〜3回の処置が必要となります。
外科手術をお悩みの方はご相談下さい。
内科療法は、耳介部に貯留した血様漿液を針で吸引後、薬剤を注入するだけで、麻酔も必要なく5分程度で完了します。この治療を1〜3回行えば耳の形がわずかに変形するものの治癒します。外科手術に比べ費用もかからず、動物に与える苦痛も少ない手技です。
このワンちゃんは他院で耳血腫手術を受け治癒しましたが、反対側耳介にも発症し内科療法ご希望で来院しました。2回の処置で完治し、費用・時間・治癒後の耳の形すべての面で満足されました。