数日前から、食欲不振、吐出がありました。レントゲンで、胃に入る直前の食道内の異物が胸腔内で観察されます。ブタの関節の噛むおやつを留守中与えていたようで、そのかけらをあやまって誤飲しました。内視鏡を使い、確認しながらの処置が一番安全だと考え、内視鏡のある病院をご紹介致しました。
他院での手術が成功し、ワンちゃんは元気になったという、患者さまからの報告がありました。
このワンちゃんは内視鏡では取り除くことができず、結果外科手術が施されたようですが、その判断は、内視鏡がないとできなかったでしょう。
犬猫の妊娠期間は約63日です。早期妊娠診断は、妊娠30日前後で、触診や超音波検査で確認できます。レントゲンで胎児が確認できるようになるのが妊娠45日前後です。このワンちゃんには4頭の赤ちゃんがいました。
妊娠60日目のワンちゃんです。産道となる骨盤の幅より、胎児の頭部が大きくなっています。このように妊娠胎児の数が少ないと、過大児になり難産の原因となります。事前にわかれば、計画的な帝王切開手術が行われます。
妊娠・分娩は病気ではありませんが、母体に負担がかかります。繁殖したい時は、遺伝的疾患の有無、母体のコンディションなど含め獣医師にご相談下さい。難産は太りすぎなどの母体側の要因、胎児の大きさ、体位などの胎児側の要因で発生します。定期検診を行い、分娩前・分娩時・分娩後の注意点を事前に学ぶように致しましょう。
睾丸腫瘍は睾丸が大きくなったり、硬くなることで発見されます。去勢していないワンちゃんは、日々のチェックが必要です。
前立腺の異常は高齢のワンちゃんで多い疾患です。肥大化・腫瘍化に対して、早期の去勢手術が唯一の予防法です。排尿異常で発見され、超音波検査・病理検査で確定診断いたします。
雄犬に排尿障害があり、レントゲンで尿道内の結石を確認しました。レントゲンで結石が写る場合と、写らない結石もあるので注意が必要です。雄の動物では、尿が出ないことが致命傷になります。この仔は手術で結石を取り除きました。
別の雌のワンちゃんで、開腹手術で膀胱内から取り出された結石です。大きいものは2cmありました。雌の動物では尿道が太いため、尿道に詰まることなく、このように結石が大きく成長する場合があります。この仔は無症状でした。
尿検査をすると、結晶が観察されます。この時期には頻尿・血尿などの膀胱炎症状を示します。犬の膀胱炎の約80%が細菌感染で起き、猫は80%が不適切な食事で発生します。排尿障害の起き易い雄猫は、特に注意が必要です。
猫の何度も再発する膀胱炎や、持続的な膀胱炎症状は、先天性の膀胱の奇形や、膀胱内の腫瘍などが原因の時があります。そのような場合、このように膀胱造影をして確認したり、超音波検査で確認できる場合があります。
この症例では、ヘルニア孔から出ている腸管は壊死していなかったので、出てきている腸管を腹腔に戻し、孔を縫い縮めました。症状は、出てきているものによって異なります。症状が出る前に手術を検討したほうがよいでしょう。
会陰ヘルニアは肛門横が膨らみます。肛門近くの直腸内に便がかたまってしまい、便が出にくくなるのが特徴です。片側だけ膨らむ片側性と、両側が膨らむ両側性があります。通常は雄犬がなる病気で、去勢手術により予防効果があるといわれております。手術によりヘルニア孔をふさがないと治りません。そのままでは悪化していく病気です。また、この病気は経過が長く、直腸憩室を伴っているものが多いので、手術の際には確認が必要です。
W.コーギーが半年前から排便困難で、一日おきに飼い主さんが便をかき出さないと排便できません。断尾するこの犬種は、会陰部の尾を動かす筋肉の発達が悪く、特に去勢していないオスはこの病気になり易いようです。
次に、肛門脇にあるヘルニア孔を閉じなくてはいけません。この症例では、内閉鎖筋という坐骨に付着する筋肉を、坐骨の一部を含め剥離し、閉鎖することができました。その他、腿の筋肉などを利用する場合も有ります。
術後14日目、抜糸後です。肛門脇の膨らみはありません。このワンちゃんは椎間板疾患(馬尾症候群)も併発するため、排便時の疼痛を伴うことが有りますが、浣腸しなくても排便がスムーズに出来るようになりました。
横隔膜ヘルニアは交通事故などの外傷が原因で、横隔膜の一部に孔が開き、腹腔内の臓器が胸腔内に入り込んでしまいます。通常は呼吸器症状を呈し、肩で息をする様子が観察されます。レントゲンで胸腔内の異常がわかり、超音波検査で、どの臓器が入り込んでいるのかが確認されます。このネコちゃんは、胸腔内に腸管が入り込んでいました。手術をすることで治癒しますが、経過が長いほど命にかかわります。
FIP猫伝染性腹膜炎によって腹水が貯留し腹囲が増大しています。この病気は胸水がたまる場合もあり、胸水も腹水もたまらない場合もあります。確定診断が難しい病気で、腹水検査、血液検査で推察します。根治療法はなく、緩和療法で生活の質を落とすことがないように、維持していきます。腹水が貯留すると、このように腹部全体が白くなり、超音波検査で確定いたします。
正常な腹部です。左の写真と比べても腹腔内が観察できるのが理解できます。
腹水がたまる原因は、心臓病、肝臓疾患、血液性状(低アルブミン)の変化、感染症、腫瘍など様々です。腹水を調べ、その性状によりレントゲン検査、血液検査などにより原因を追求していくため、時間も費用もかかる上、重症なケースがほとんどです。