感染症で起きる場合もありますが、腫瘍の可能性が高い像です。腫瘍は体のいたるところにできますが、このようなケースでは断脚手術を行います。この仔も手術に良く耐え、術後1年生存しました。前肢を失うと、頬袋から食べ物を取り出せないので、飼主様のお手伝いが必要です。
皮膚を削り顕微鏡検査すると、ダニがいます。疥癬症です。様々な動物に感染する寄生虫で、検査しなければわかりません。皮膚病は原因が様々で、鑑別診断や除外診断が必要です。疥癬症・毛包虫症などダニによる皮膚炎は、げっ歯類にも比較的多く見られる疾患です。
2歳のハムスターの腹部の皮膚炎です。脱毛し、皮膚はただれ、ふけのようなかさぶたが浮いています。皮膚の顕微鏡検査で、細菌感染が疑われました。2週間の抗生剤投薬で治癒しました。寄生虫だけでなく、このように細菌や真菌(カビ)などの皮膚炎も多発します。
3ヶ月のジリスの顔面の脱毛です。鑑別診断で原因を見つけられません。蛋白欠乏症などの栄養性・ホルモン性脱毛が疑われます。飼養管理の改善、除外診断のための投薬をしましたが反応がありません。このように、犬・猫に比べ診断がつかない症例が多いのも事実です。
2歳のハムスターが切歯が伸びすぎ食事ができません。口を閉じることができず、下顎の切歯は根元から曲がり、上顎に刺さっています。げっ歯類の歯は常に伸び続けるため、硬いものを咬みすぎることで根元から曲がり、咬み合わせが悪く削れていかなくなるのです。
適切な長さで切り、食事ができるようになりました。しかし今後も定期的な処置が必要です。プレーリーなどで診られる、上顎切歯の破折(歯が折れてしまうこと)では、折れた部位から細菌感染を起こします。そのため歯の根元が腫れ鼻道が閉塞し、膿性鼻汁排出・呼吸困難になります。